香道(こうどう)とは、沈水香木と言われる東南アジアでのみ産出される天然香木の香りを鑑賞する芸道である。
近年、文化の復興が目覚ましい中国や台湾、韓国などで「中国香道」「台湾香道」「韓国香道」などと「香道」という文言を使用しているが、「香道」自体は日本独自の芸道である。
香道は禅の精神を大事にし、礼儀作法・立居振舞など約束事の多い世界であり、上達するにつれ古典文学や書道の素養も求められる。しかし、香道の原点は何よりも、香りそのものを楽しむことにある。
香道においては香を「聞く」と表現するのが正式であり、「嗅ぐ」という表現は不粋とされる。香木の香りを聞き、鑑賞する
聞香(もんこう)と、香りを聞き分ける遊びである
組香(くみこう)の二つが主な要素である。
香木は生き物、その一つ一つに魂が宿ると考え、この稀少な天然香木を敬い大切に扱う。大自然の恵み、地球に感謝し、そして彼らが語りかけてくる事を聞き取らなければならないと考えるのである。
香道においては、線香等のように直接点火する香は用いない。
聞香炉に灰と、おこした炭団を入れ、灰を形作り、その上に銀葉という雲母の板をのせ、数ミリ角に薄く切った香木を熱し、香りを発散させる方式がとられる。銀葉を灰の上で押すことにより、銀葉と炭団の位置を調節する。
これにより伝わる熱を調節し、香りの発散の度合いを決める。香道具の種類、形状及び作法は流派によって異なる。