今、病院設計に求められているものは・・・

2022年12月
B01 志賀設計では、民間病院を中心に100~300ベッド程度の規模の病院を多く設計しています。今回のコラムでは、建築担当者2名に「今、病院設計に求められているものは・・・」というテーマの基、病院設計の進め方について話を伺いました。
フロントローディング方式が肝
最新外観パース
佐藤:ここ2~3年の建設コストの高騰や職人不足は、規模の大小にかかわらず、病院設計においても大きく特に影響を受けていると思います。瀬戸常務が担当された福岡脳神経外科病院ではどの様な事に気を付けて設計を行いましたか?

瀬戸:私が病院設計で最も重要視している事は、フロントローディング方式で設計を行うという事です。特に建設コストについては、設計の初期段階で病院の機能面やデザイン等の決め事をクライアントとの打合せで決め込んでいき、基本設計の段階で精度の高い概算工事費を出すという事が大変重要になってきます。

佐藤:確かに、どれだけ密度の高い基本設計を行えるかは初期のコストコントロールが肝ですからね。

瀬戸:そのためにはクライアントとの一回一回の打合せが非常に重要になってきます。設計に入る前に、何をいつまでに決めるか、打合せ毎のテーマを明確にスケジューリングし、クライアントと共有します。お互い次の打合せに向けて、クライアント側が決めなければいけない事、設計側で用意しなければいけない説明資料を明確にしていく事が重要です。2017年に竣工した福岡脳神経外科病院では、設計期間が短かった事もあり、特に各種決め事のスケジューリングについてはシビアに調整しました。
病院に寄り添ったパートナーとして設計を行う
佐藤:私が「今、病院設計に求められているものは・・・」というテーマで一番に思う事は、病院のハード面についてだけではなく、診療報酬も含めた病院のソフト面についての見識を設計者は持つべきだと思っています。

瀬戸:佐藤チーフが設計に携わった行橋の大原病院は、建替えを機に病床の再編成を行うという案件でしたね。

佐藤:そうです。大原病院では、平成30年の介護療養病床の廃止を受けて、建替えを機に、今持っている病床をどの様に再編していくかについて病院と設計者が様々な検討を行いました。
この様な場合、単にクライアントの要望に沿った病院を設計するというだけではなく、その病院が地域の中でどの様な立ち位置で、どの様な方向性で病院経営を行っていくかについて、設計者が理解した上で設計を行う事が重要になってきます。

瀬戸:確かに、特に高齢化社会を担う病院の設計では、設計者であってもそこら辺の流れをしっかりと把握する事が重要になってきますね。

o_hospital
佐藤:はい。高齢の患者さんが多い病院では、今後の診療報酬の改定や、施設基準を見越した病棟の設計を行い、介護療養から老健へ、医療療養から地域包括ケアへ等、将来的な転換に幅を持たせた病棟設計が大事になってきます。具体的には、廊下幅や病室の面積、水廻りの作り方等ですが、それに加えて将来的な改修のし易さへの配慮も重要です。

瀬戸:病院の将来像に幅を持たせる設計という事ですね。

佐藤:10年後、20年後まで見据えた話をクライアントとする事で、単に設計の業者としてではなく、病院に寄り添ったパートナーとして在りたいと考えながら設計をしています。
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